法人であれ個人事業主であれ事業主には事前に対処を考えておきたい様々なリスクがあります。起業時はそこまで備えるのは難しいかもしれませんが、その場になって困らないように、少しずつでも備えをしていく方が良いでしょう。
事業主が抱えるリスクとは
事業内容によっておこるリスクは様々ですが、まず、仕事の結果による事故等があります。特にお客様の身体や財産に対して事故を起こした場合には、高額な損害賠償を求められる可能性があります。また事業自体が立ち行かなくなり倒産するリスクもあります。
そして、事業主には雇用保険や労災はありませんし、事業をやめることになったとしても退職金が支給されることはありません。
それらは全て、自分が考えて備えを作る事によって、リスクを抑える事ができます。
事業計画を立てる際にはそのリスク回避を頭において計画することをおすすめします。
事業活動中のリスク・倒産に備える
自身の会社経営が健全であっても、取引先の倒産という事態はいつ起こるかわかりません。経営セーフティ共済は、そのような不測の事態に必要となる事業資金を借入れできる共済制度です。取引先が倒産した場合、無担保・無保証人でそれまでに掛けた金額の10倍までを借り入れることができます。また、40ヵ月以上掛金を納めていれば、解約する際に掛金の全額が戻ってきます。全額が損金となりますので、掛ける事で節税対策にもなります。
けがや病気のリスクに備える
けがや病気に対しては民間の保険会社に個人事業主や中小企業のリスクに備えるためのサービスがあります。民間の保険会社では既存の保険だけでなく、対象者のニーズに合わせ保険をカスタマイズする事もできます。けがや病気で働けない時期の所得を補うようなものもあれば、生命保険とあわせて、働けないときに年金のような形で保険金を受け取れるようにするなど、相談をすれば設計をしてもらうことができます。
保険会社には損害保険も生命保険も扱っている会社も多くありますので、抱えているリスクを全て洗い出し、補えていない部分を明確にして、保険商品を組み合わせて設計するれば、備えとしては非常に有効なものができるでしょう。
Designed by pch.vector / Freepik
経営者自身の退職金に備える
小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てる退職金制度です。掛金は月1,000~7万円までの500円単位で、自分で決めることができ、掛金が全額所得控除できるなどの税制メリットに加え、事業資金の借入れもできる制度です。ただし小規模企業共済は退職金目的の制度であり、廃業または、65歳に達する以外の理由で解約すると不利になりますのでよく内容を理解して検討しましょう。
個人事業の開業直後は、収入も安定せず、なかなかリスクに備えることまで計画することはは難しいかもしれませんが、問題が起こってからでは手遅れになる場合もありますので、考えの中に入れて事業計画を立てる事をお勧めします