シニアの方でこれから起業をしようと考えている方もおられると思います。私自身は50代で起業して三年目を迎えています。ここで私の現状や、今後についての考えを書くことで、これから起業される方々の何かの参考になればと思います。
シニア起業の強みはやはり今までの経験
シニアの方々は仕事のキャリアはもちろんですが、社会経験も豊富ですから、社会常識が備わっていることも、実は強みになります。
そう思う理由は、現在の競合会社の中には、仕事をする中でお客様や取引先に信用されていない方たちも存在するからです。それは年齢だけの問題ではないという考え方もありますが、シニアになるまで社会で仕事をして、通用しているのであれば、その社会的信用対するに心配は不要だと思います。
また、今までの仕事と同じ内容で起業するとは限りませんが、内容は違っても自分の得意・不得意は充分理解できていると思いますので、自分の「身の丈」は図りやすいと思います。起業を考える際にそれを踏まえる事がきますので、踏まえられれば、大きな失敗にはなりにくいと言えるのではないでしょうか。
起業時に考えたほうが良いと思うこと ①将来の事
私は今の仕事を始めて3年目になります。3年たって改めて起業する場合に考えておいた方が良いと思う事のひとつは、起業する内容が10年後もできる仕事かどうかということです。
65歳から始めるとして10年後は75歳になります。その年齢でもできる内容にしておくことで長く現役で仕事ができる起業にすることができると思います。
先々の課題としては、その事業を承継するのか自分だけで終わらせるのかも考える事になりますので、そのあたりも考えて進められれば後々困る事も少ないと思います。
これを思う理由として、私自身が事業の承継に苦労したことが挙げられます。私にとって事業をやめるというのはなかなか労力のいる経験でした。
起業時に考えたほうが良いと思うこと ②資金の回収
そしてもう一つ考えておいた方が良いと思うのは出資したお金を早めに回収できるかどうかという事です。起業の目的にもよりますが、資金を早めに回収することを考える事で無駄な出費を防ぐことができます。例えば、コーヒー専門店をすることを考えた場合に、自分の理想を追って内装にお金をかけすぎたり、什器にお金をかけてこだわりのものをおくことなどは一度本当に必要かどうかを考え直してみた方が良いと思います。
私が長年通っていた喫茶店では閉店してオーナーが変わり開店をしたものがありますが、新しい若いオーナーさんは居ぬきのまま店舗を借りて全く内装工事をせず、DIYでいろいろな工夫をしておしゃれな喫茶店にリニューアルしていて驚いたことがあります。
おそらく内装工事をしていれば数百万円はかかっていたと思いますので、その分を節約できたのはかなり資金の回収が速くできたと思います。
また、喫茶店に限らず、テナントを借りる場合は原状復帰までお金はかかりますので、その部分も頭において考えられた方が良いと思います。
かく言う筆者の実情は?
上の2点について私自身の現状として、まず一つ目の、10年後の自分は今の仕事はできないのではないかと考えています。前職で始めたネットショップですが、現状の商品は重量がそこそこあるものが多く、10年後は体力が持つかどうかが心配になってきました。また、製品の性質上一度自社を経由する必要があり、コストがかさみます。それらを解決するために、今は取扱商品を変更し始めています。最初から気づけばよかったのですが、そこまで頭は回りませんでした。
2つ目のテナントについては現在はフルタイムでは借りずに仕事ができていますので、コストは上手く抑えられています。その点では失敗するリスクは軽減できていると思います。
シニア起業その他の留意点
シニア起業される方のそれまでのお仕事にもよると思いますが、もしサラリーマンで管理職であった方がシニア起業した場合は環境の変化に戸惑うかもしれません。
例えば、小さな起業をされる場合は、なんでもかんでも、自分がしなくてはならなくなります。電話応対から、営業、事務、接客など、雑多な事は、今までは部下が担当していた仕事も多いと思います。それらをまた働き始めた最初に戻って、全てを自分ですることになりますので、その変化に順応する必要があります。
また、今までサラリーマンだった方の人脈は、退社することで使えなくなることも多いと思います。
取引先は一般的には会社側に残りますので、過去の実績を引き合いに出したところであまり役には立たないと思っておいた方が賢明です。
もちろん、ある程度は役立ちますが、あくまでそれは最初だけの事です。取引が始まればまた一から実績を作ることになりますので過去にとらわれ過ぎず前進した方が良いと思います。
私自身、前職では管理側にいましたので、来客にお茶を出したりするのはスタッフがやってくれていましたが、今は来客と商談をしながらお茶を出すパターンに代わり、あたふたしながら対応をしていますので、今は自分の要領の悪さが自分自身で笑えます。
今までの実績がゼロに代わる事については、私自身はあまり苦にはなりません。たまには凹み、会社に守られていたことを痛感しますが、むしろ何もないまっさらな状態が気楽で新鮮に思えています。
いままでのしがらみが全く無くなるというのは、なかなか気持ちが良いものです。
色々とシニア起業の留意点などを書きました。ただしこれは全ての人に当てはまるものではないと思います。あくまでも私がやっておけばよかったなと思う事ですので、これが整わなければできないものではありません。少しでもお読みいただく方の参考になれば幸いです。